台湾全土には、1930年代に建設された元日本軍居住区が、当時の姿で空き家となったまま、たくさん残っていて驚きます。今は台湾政府が管理している区域ですが、それらは歷史建築として保護され、再生計画が行われています。
今回の高雄では、山鳩舎は元軍人住宅を借りて住むことにしました。この一帯は「黄埔新村」と呼ばれています。黄埔新村の再生プロジェクトは、2年前にスタートしたばかりで、敷地内に200軒ぐらいの軍人住宅がありますが、今はまだほとんどが廃墟です。廃墟を通り越して、遺跡を思わせるような場所もあります。敷地内を散策したら、軍人住宅を再生したベーカリー、デザインスタジオ、アート系イベントスペースがあったのと、少数の住民が暮らしているぐらいでした。
政府は黄埔新村の入居者を公募していて、3年という居住期間の制限付きで、家賃を無料とし、修復費用20万台湾元(約70万円)の補助を提供して保存再生を計画しています。入居条件で営利目的での建物の使用を禁止しているのですが、それが自然に物々交換のコミュニティをつくっているような結果になっているようです。いま暮らしているこの家に、昔、日本人家族が暮らしていたと思うと不思議な気分です。大変な歴史を乗り越えてきた村、将来は多くの人に愛されるエリアに進化してほしいです。
text and photo by w.
UPDATED 2016.09.09 Architecture, Taiwan